炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(IBD)は、腸に慢性的な炎症が生じる病気の総称で、主に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2つに分けられます。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に直腸から連続性に炎症を起こしびらん・潰瘍を作る原因不明の疾患です。
全年齢で発症しますが、特に小児を含めた若年者に多いのが特徴です。
完全に治癒することはなく、活動期(発症時・再燃時)と寛解期の2つの期間を繰り返していくことが知られています。
活動期
活動期とは、血液生化学・内視鏡的に炎症所見があり、それに伴う腸炎の症状(腹痛、下痢、血便、発熱など)がある状態です。
寛解期
一方寛解期とは、症状が少なく、血液生化学・内視鏡的に炎症が落ち着いている状態をいいます。

潰瘍性大腸炎は重症化・劇症化すると大出血、中毒性巨大結腸症、穿孔(腸に穴が空く)を引き起こすことがあります。また、炎症のコントロールが不十分な症例では、癌が生じることがあります。場合によっては腸管外合併症を伴うことがあります。
これらの合併症を防ぐためにも、その方の病状に合った適切な治療が必要です。
治療には、寛解導入療法と寛解維持療法があります。
寛解導入療法は、激しい炎症を抑え、寛解期に持ち込むことを目的として行われ、寛解維持療法は全身状態を管理、観察しながら活動期にさせない(再燃させない)ことを目的に行われます。
日々の診療において、症状や検査結果など相談しながら、より良い体調を目指していきましょう。
あなたの腸の健康を守る、大腸内視鏡検査の役割
潰瘍性大腸炎は、病気の範囲の確定、重症度の評価、治療効果の判定や発癌サーベイランス(癌の発見)など非常に有用です。必要な場合はご提案しますので、検査を受けましょう。
クローン病
クローン病は、炎症性腸疾患のひとつで、1932年にニューヨーク マウントサイナイ病院の内科医クローン先生らによって限局性回腸炎として、はじめて報告された病気です。
クローン病の病変は潰瘍性大腸炎と異なり、口から肛門まで全消化管に生じます。粘膜の欠損はアフタ(口内炎様)にはじまり、びらんから潰瘍へと進展します。
腸管のたて軸に沿って進展し(縦走潰瘍)、病変と病変の間に正常部分が介在する、非連続性が特徴です(スキップ病変)。
病変は、粘膜だけではなく、筋層を越えて全層に進展するため、狭窄(狭くなる)や穿孔、瘻孔(穴が空く)を来しやすいのが特徴です。

これらの病変により腹痛、粘液便、発熱、体重減少などが生じます。
クローン病は完全に治癒することがなく、活動期(発症時・再燃時)と寛解期の2つの期間を繰り返していくことが知られています。
治療には、寛解導入療法と寛解維持療法があります。寛解導入療法は、激しい炎症を抑え、寛解期に持ち込むことを目的として行われ、寛解維持療法は全身状態を管理、観察しながら活動期にさせない(再燃させない)ことを目的に行われます。
日々の診療において、症状や検査結果など相談しながら、より良い体調を目指していきましょう。
記載者:院長 堀川洋平
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