健診でよく耳にする『ピロリ抗体陽性』の意味
検診などで、「ピロリ抗体が陽性です」と言われた方はおられませんか?
ピロリ菌、正式には「ヘリコバクターピロリ」(=Helicobacter pylori)といいます。
ピロリ抗体は、ピロリ菌に感染した場合、それに反応した私たちの体で作られるタンパクです.つまり、ピロリ菌そのものではありません。これが若干話をややこしくしているのですが、ピロリ抗体陽性という結果には、以下の二つの可能性が含まれます。

①過去にピロリ菌に感染したことがある(今はいない)
②現在ピロリ菌に感染している


ピロリ菌の除菌療法は比較的安全で、副作用も少ないのですが、
まれに軟便、味覚異常、薬剤アレルギーなどが生じます。
ですから、②の方のみ除菌すべきなのは言うまでもありません。今ピロリ菌がいない方に除菌する必要はありませんよね。
どんな場合にピロリ菌除菌が行われるのか
現在、ピロリ菌除菌の適応は、
慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、早期胃癌の内視鏡治療後、特発性血小板減少性紫斑病のいずれかの場合です。
とくに慢性胃炎での保険適応は、内視鏡検査で慢性胃炎が確認されていることが条件です。これは、①の方を除外したい、既に胃がんがある方を見逃してはいけない、との理由からです。
まとめ
以上からピロリ抗体陽性→すぐ除菌にはなりませんのでご留意ください。
何だかよくわからないな、という方は、遠慮なくご相談ください。

記載者:院長 堀川洋平